ホーム/探偵のお仕事BLOG/別れさせ屋工作事例:別れたい/「別れたい」ずるずる続く関係~別れさせ屋⑤
探偵のお仕事ブログ

「別れたい」ずるずる続く関係~別れさせ屋⑤

 依頼人本郷さんの案件は大詰めを迎えている。

対象者である近藤氏は工作員AYAさんに夢中になりつつあった。

その反動なのか、本郷さんと会う頻度は減っていった。

そして本郷さんは次のステップに進むべく、同僚の彼と会う頻度を

増やしていった。

と言っても、たまに会えば婚約者同士で結婚式場の打ち合わせを

気持ちが乗らないまましなければならなかった。

何とか式場の予約をする前に、そして参列者に招待状を送る前に

近藤氏との関係を解消したいという思いが日に日に強まっていった。

いよいよ最終局面に向けて動き出す。

工作員AYAさんは地方から来ていることになっている。

東京にいる時は親せきの家に泊る設定だったが、東京に住みたいから

不動産屋さん巡りに付き合ってほしいと近藤氏にお願いすると

近藤氏は張り切って「もちろんいいよ!」と返事をしてきた。

そしてある土曜日の日中に工作員AYAさんは近藤氏と待ち合わせして

ランチをした後に近藤氏の最寄り駅にある不動産屋に入り

何軒かの物件を紹介してもらい、業者さんと一緒に内見にも

行ってみた。

近藤氏は終始、AYAさんの腰に手を当てたり手を繋いだりしながら

楽しそうに物件を見て回った。

夕方になりAYAさんは「今日は本当にありがとうございました。

今日はお礼に近藤さんに手料理でも作っちゃおうかな・・。」と言うと

「えっ!うれしい。じゃあ冷蔵庫の中に何もないから食材を買いに行こう。」と

いう流れになり、仲良く近くのスーパーに行き、食材とお酒を大量に買い込んだ。

近藤氏の家にAYAさんが入り、まずはお米を研ぎ炊飯器にセットする。

その後、買ってきた食材を手際よく下ごしらえして調理を開始する。

近藤氏は落ち着かない様子で、ちょくちょくキッチンにいるAYAさんを

後ろから抱きしめたりちょっかいを出してくる。

一方、担当員から連絡を受けた依頼人本郷さんは近藤氏自宅下にて

いつでも乗り込めるように待機していた。

近藤氏とAYAさんはお酒を飲みながら食事を始めていた。

そして食事を終えて、簡単なおつまみでお酒を飲む二人。

「今日は家に泊っていきなよ。」と近藤氏が言うと

「うん、そう思って親戚には友達の家に泊るって言ってきたよ。」と

AYAさんが答えると、近藤氏はうれしそうな顔になり、じゃあお風呂の準備してくるねと

鼻歌交じりにお風呂に向かう。

このタイミングでAYAさんは本郷さんに「あと10分後ぐらいに来て下さい。」と

メッセージを送る。

本郷さんはそのメッセージを見て、役に入ったのか表情を引き締める。

そして約10分後、お風呂の用意ができて先にAYAさんが入る事になる。

近藤氏は一緒に入ろうとしつこかったが、何とか抑えてAYAさんは脱衣所に

入っていった。

ここで本郷さんが合鍵を使って近藤氏の家に入っていった。

修羅場である・・・。

「あんた何やってるの?脱衣所にいるこの子は誰?」と詰め寄る本郷さん。

近藤氏は青ざめた表情で言葉が出ない。

「何とか言いなさいよ。最近様子がおかしいと思ってはいたけど、また浮気してたなんて

あり得ない。」と大声で怒る本郷さん。

ここでAYAさんが服を着て脱衣所から出てきて「近藤さん、この人は誰なんですか?

彼女いないって言ってましたよね?」と泣きながら近藤氏に詰め寄る。

「えっ?この人彼女いないなんて言ってたの?呆れた・・。二度と顔も見たくないし

言い訳も聞きたくない。さようなら。」と言って近藤氏の家を出る本郷さん。

AYAさんも「彼女さんいたんですね・・。今日は帰ります・・。」と言って

家を出ようとすると「いや、違うんだよ・・。ごめん嘘をついてて・・。でもAYAちゃんに対する

気持ちは本当だから。それだけは信じて欲しい。」と近藤氏は食い下がってくる。

AYAさんは「帰ります。」と言って近藤氏の家を出ていく。

その数分後、本郷さんの携帯電話には何度も近藤氏からの着信が入ったが本郷さんは

出なかった。

LINEでも謝罪の言葉が何度も入ったが、既読スルーした。

数日後に近藤氏の母親から本郷さんに連絡が入った。

「うちのバカ息子が本当にごめんなさい。うちの子とやり直してほしいとは

恥ずかしくて言えないけど、もし許してくれるならいつでも私に連絡してね。」という

内容だったが、本郷さんは「お母さんが悪いのではないので謝らないでください。

彼のことは考えられませんけど、お母さんには良くして頂いたので本当に感謝しています。

今までありがとうございました。」と言って電話を切った。

それからも近藤氏からの謝罪とアプローチは続いたが、日が経つにつれて少なくなっていった。

本郷さんは、少し良心の呵責に苛まれていた期間があったものの、工作は無理やり彼と関係を

構築するのではなく、彼が工作員に魅力を感じて自分の意志で浮気(半ば本気)をしようと

しただけなのです。浮気をするかしないかという選択権は彼にあったのだから本郷さんが

良心の呵責に苛まれることはありませんよ、遅かれ早かれ近藤氏は女性からアプローチされたら

浮気をしていたはずですと担当員が話すと、そうすよねと気持ちを切り替えられたようだった。

この件が終わり数年が経っていますが、いま本郷さんは別の男性(同僚男性)と結婚して

お子さんと幸せに暮らしているそうです。

「別れたい」ずるずる続く関係~別れさせ屋工作・・終わり。

<<    >>
トップへ戻る