早急に穏便に別れたい~別れさせ屋工作④
別れさせ屋工作員のSHINさんは対象女性である田中氏からのLINE攻勢に閉口していた。
朝の「おはよ♡」から、「公園でご飯食べてる~!」、「ちょっと聞いてよ、職場の〇〇が・・。」
「いま仕事終わった~。」「何食べよっかな。」「ごはん何食べるの?」「このテレビ面白い~。」
「眠い・・。」「おやすみなさいzzz」「ちょっと目が覚めちゃった。」などおはようからお休み以上まで
SHINさんのスマートフォンはLINEの着信音が鳴っていた。
それと比例して、依頼人栗田さんへのアプローチは少し落ち着いているようである。
そして約束していた水曜日。
昼休みに予約していたレストラン前でSHINさんと田中氏は待ち合わせ。
勤務中は制服を着ているが、今日は私服に着替えていた。
最初の接触時よりメイクもしっかりしている。
「あれ、前回よりいいオーラになってる。いいねぇ!」とSHINさんが褒めると
「えっ?特に何もしてないけどな・・。ふふふ。」と嬉しそうである。
早速入店して、予約してあった料理を食べる。
「SHINさんはそういうのが見える人なんですか?」と田中氏が聞いてきたので
「うん、誰でも見えるわけじゃないけど、気になる人だと見えることがあるよ。
でもいいオーラになってきているという事は恋人との関係がうまくいっているのかな?」と
聞き返すと、俯きながら「なんだかそっちはどうでもよくなってきてるというか・・・。
吹っ切れそうというか・・。」と濁す田中氏。
「そっか、でも田中さんにとってはいい傾向になってきてるみたい。」とSHINさんが答える。
「そう言えばSHINさんはご結婚されているんですか?」と直球に聞いてくる田中氏。
「ううん、残念ながら独身ですよ。もてないですし・・。」と答えると
「ええ、絶対モテるはずですよ。面白いし、イケメンだし。色々選り好みしてるんでしょ。」と
探るような質問を続ける田中氏。
「そんな事ないんですけど、仕事ばっかりしてるから出会いもないし、でも田中さんは
きれいな人だな、困ってそうだから放っておけないなって思いました。」と言うと
田中氏は嬉しそうに「ええ、照れちゃう。私もSHINさんいいなって初めてお会いして時に
思いましたぁ。」と語尾を伸ばしながら甘えモードに入る田中氏。
という話をしながらランチの時間はあっという間に終わってしまう。
「またご飯行きましょうね、今度は夜にしましょう。」とSHINさんが言うと
「はいぜひそうしましょう。私がいいお店を知っているので、ご紹介しますね。
じゃあそろそろ行きます、行きたくないけど・・。」と名残惜しそうに会社へ戻る田中氏。
そろそろ締めの作業に入るころである。
次回、早急に穏便に別れたい~別れさせ屋工作⑤へ続く。