別れ話を受け入れない彼と別れたい~別れさせ屋工作⑤
対象男性宮田氏と別れさせ屋工作員CHIKAさんとの交流は順調に深まっていった。
前回、会ったことで大きな効果を得たようである。
宮田氏は依頼人稲葉氏との関係を彼女ではない、同棲しているけど友人、終わっている関係である
という言質をとれたことも大きかった。
担当員は依頼人稲葉さんと打ち合わせを行い、稲葉さんのご要望により、宮田氏とCHIKAさんが
一緒の場面に遭遇して、修羅場にしたいという流れにすることとなった。
前回会うまでは、LINE交換したもののゲーム内のチャットでしか交流していなかったが
会ってからは、おはようから始まって、今日のお昼ご飯という画像、仕事が終わって電車NOWという
画像付きのLINE、そしてお休みなさいまでLINEでの交流が続いた。
この前の飲み会から10日後であるこの日、再び2人は会う事となった。
昨晩宮田氏は「明日はまた飲み会があるからご飯いらない。」と稲葉さんに伝えていた。
夕方18時。
早めに退勤した宮田氏は待ち合わせ場所に到着。
その5分後にCHIKAさんも到着して、予約してあった居酒屋さんに入っていった。
この店は個室でカラオケもついているので、居心地が良かった。
「カラオケなんて何年ぶりだろう・・。あまり自信ないよ。」と宮田氏がボソボソと
つぶやく。
「酔っちゃったら、ノリで好きな歌を入れればいいし、私と一緒に歌えば緊張しないでしょ?」
とCHIKAさんが話すと、「そうだね。そうしよう!」と元気になる宮田氏。
少し前からCHIKAさんは宮田氏のことを次郎ちゃんと呼ぶようになっていた。
二人が入店してから1時間後の19時。
稲葉さんが現地に合流した。
一人で通りかかるのは、彼が怪しむという理由から年配女性工作員も
同行することとなった。
先輩社員のお供で近くを通りかかったという設定にした。
宮田氏とCHIKAさんはは楽しく3時間ほど店内で過ごす。
もちろんその内1時間半ほどは一緒にゲームをしていた。
お酒に弱い宮田氏は、顔を真っ赤にしてCHIKAさんに甘えていた。
お会計を済ませて、二人がお店の外に出てくる。
二人は手を繋ぎながら、フラフラと駅方向へ歩いていた。
そこへ「ちょっと!次郎さん?」と声をかける稲葉さん。
その声に気が付かない宮田氏は、CHIKAさんの頭をなでながらニコニコしている。
稲葉さんが「ちょっと!」ともう少し大きな声で呼び止めると
怪訝そうな表情で振り返る稲葉氏は、だらけていた顔がシャキッとして
稲葉さんを見つめ返す。
CHIKAさんが「えっ?次郎ちゃんどうしたの?誰この人?」と
聞くと宮田氏は「前に話した同棲している友人。」と答えてくる。
その声が聞こえた稲葉さんは「・・あらスミマセン、お楽しみ中に声をかけちゃって
ごゆっくりどうぞ。」と言い残して、年配女性工作員と共にその場から去っていった。
宮田氏は少し呆然としていたが、気を取り直してCHIKAさんに向き直り
「ネットカフェ行こうよ。と言って、CHIKAさんの手を引いてネットカフェに入っていった。
ネットカフェに入ってすぐ宮田氏は、「ちょっとお手洗いに行ってくるね。」と言って
部屋を出ていった。
この時、稲葉さんに宮田氏から電話が鳴ったので出てみると「さっきは変な所見せてしまって
すまないと思ってる。でも俺たちの関係はもう終わりっぽかったから良かったんじゃない?」と
開き直るような発言をしてくる宮田氏。
「何それ?開き直ってるの?あなたの荷物出しておくから出て行ってね。」と
「わかった。」と宮田氏が答えて電話が切れた。
稲葉さんは電話を切ると自宅に戻って、宮田氏の荷物をまとめて玄関わきに置いておいた。
そこに「私はしばらく戻りませんので、カギはポストに入れておいて下さい。」という
手紙を置いておいた。
CHIKAさんとの飲み会を終えて帰宅した宮田氏。
その日はそのまま眠り、翌日レンタカーを借りて荷物をすべて積んで出ていった。
ポストの中に鍵はちゃんと入っていた。
CHIKAさんによると宮田氏は一度実家に帰ったそうで、今はCHIKAさんと一緒に住む用の
物件を探しているとの事。
稲葉さんは彼が戻ってこれないように、そのマンションを解約して新しい所へ引っ越した。
その後、稲葉さんのご要望により、しばらくCHIKAさんは宮田氏と交際を続けていったが
CHIKAさんが宮田氏を振り回すような交際をしたので、数か月後には円満に関係が終わった。
現在稲葉さんは新しい恋人と出会い、幸せに暮らしているそうです。
別れ話を受け入れない彼と別れたい~別れさせ屋工作・・終わり。