束縛男にうんざり|上手に別れるための別れさせ屋④
工作員MIKUさんは3人目の工作員である。
対象者尾形氏の警戒心の強さや、閉鎖的な性格が災いして
1人目2人目の工作員になびかなかったのである。
3人目のMIKUさんは尾形氏の大好きなアニメキャラクターを
きっかけに突破口を開いたのである。
メールアドレスの交換をしたMIKUさんに尾形氏から届いたメールを
見せてもらうと、アニメキャラの絵文字がふんだんに使用された
特殊なメールであった。
1日に10から15通の他愛もないメールを繰り返すこと1週間・・・。
急に尾形氏から「お会いしましょう。」というメールが届いた。
尾形氏はMIKUさんと出会ってから、依頼人岡山さんへの接し方が
柔らかくなったそうで、岡山さんは少しずつ別れさせ屋工作の効果を実感していた。
MIKUさんは尾形氏の予定に合わせて会うこととなった。
そして当日、待ち合わせ場所である秋葉原駅前にてMIKUさんと尾形氏は
合流して、複数のアニメグッズのお店やメイド喫茶、ゲームセンターなどを
巡っていった。
尾形氏の表情は通勤時とは全く違い、生き生きとしていた。
フィギュアを数点を購入した尾形氏とMIKUさんは、隣の神田駅まで
足を延ばし、居酒屋に入る。
半個室タイプの居酒屋で、尾形氏が「今日の戦利品公開~」とテンションを上げながら
購入したフィギュアをテーブルに並べるのであった。
引いてしまう気持ちをグッと抑えたMIKUさんは、尾形氏と同じようにテーブルに
今日買ったフィギュアを並べ、それぞれ買ったものを褒め合うのであった。
それから2時間ほどお酒を飲み、尾形氏は完全に酔っ払っていた。
MIKUさんに甘えるような態度をとっていたので、MIKUさんは「よしよし」と
尾形氏を撫でてあげる。
その日は終電で尾形氏は帰るが、帰りの電車内で「もっとMIKUさんと一緒にいたい」という
メールを送っていた。
その日を境に毎日のようにあった岡山さんへのメールが1週間に1回に激減したのである。
MIKUさんと担当員はそろそろ工作の仕上げに入るべく、岡山さんを交えて打ち合わせを
行うこととなった。
次回、束縛男にうんざり|上手に別れるための別れさせ屋工作⑤へ・・・続く。