周りから応援されている関係だけど別れたい|別れさせ屋③
工作員が対象者に接触するポイントを考える時に
最も重要なのが不自然にならない事である。
・話す時間が一定以上確保できるポイント。
・話しかけ方にバリエーションが持てるポイント。
・日常生活の中で有り得るシチュエーション。
なども重要ポイントである。
今回の対象者岩村氏の行動パターンの中でそのポイントが当てはまる
ポイントは仕事帰りの電車内か電車を降りてから自宅に徒歩で帰るまでの
ルートであると言える。
電車内、駅から自宅までの道のどちらも人通りが多いので
工作員も待機しやすく、接触もしやすいと言える。
またご自身が別れたいという案件では、依頼者様から頂く事前情報が
工作員の設定や役作りをするにあたって重要な要素になると言える。
今回依頼人である今井さんから、彼は年上のお姉さんタイプの女性に
弱いという情報を頂いている。
また趣味のスノーボードも話題の一つになり得る。
今回接触ポイントに選んだのは、仕事帰りにほぼ毎回立ち寄る駅舎内の
書店となった。
19:30自宅最寄り駅書店付近にて工作員が待機を開始する。
岩村氏の勤務先近くには調査員が待機しており、退社する岩村氏を
捉えれば、工作員に連絡が入るようになっている。
20:04岩村氏が勤務先を出て、駅へ向かう。
20:11勤務先最寄駅より電車に乗る。
20:45岩村氏が自宅最寄り駅にて下車。
改札を出て書店に入店する。
さて、今回接触を行う工作員はRIEさん(33才、元モデル、東北出身でスキーのインストラクターの
資格を所持、スノーボードも得意である。)という女性工作員で、これまでにもウィンタースポーツを
好む対象者に対して多くの実績を残してきた工作員である。
RIEさんは既に書店内のスノーボード関連コーナーにて雑誌を立ち読みしている。
岩村氏はまずビジネス書コーナーに行き、棚から何冊か取り出してパラパラと読んでは
しまうという作業を繰り返した後、スノーボード関連コーナーにやって来る。
RIEさんは岩村氏を見ないようにして、雑誌に没頭している。
岩村氏が1冊の雑誌を手に取り、パラパラとページをめくる。
RIEさんが持っている雑誌は売り場に1冊しか残っていなかったもので
岩村氏はその雑誌が気になるようである。
RIEさんはその雑誌を持ってレジに向かう勢いであったが
反転して「あっ、これ読みますか?」と岩村氏に言うと
「えっいいんですか?お買いになるんだったら申し訳ないですけど・・・。」
「私の地元のコースの特集をやってたんで買おうかなって思ったんですけど、
知ってる内容ばっかりだったんで大丈夫ですよ。」と答えると、
岩村氏は「じゃお言葉に甘えて」と言って、その雑誌を急いでレジで精算して
RIEさんの所に戻ってくる。
RIEさんもほかの雑誌を数点購入する。
二人は一緒に書店を出ると、岩村氏がRIEさんの地元のスキー場の質問をしてきたり、
RIEさんがそのスキー場の穴場を教えたりと話が盛り上がったので、少し駅前の商店街を
一緒に歩く。
「何か初対面の人なのに色々聞いちゃってスイマセンでした。」と岩村氏は恐縮していたが、
RIEさんは「そのスキー場のことでわからないことがあったら、いつでも連絡して下さいね。」と言って
アドレスと電話番号をメモに書いて、岩村氏に渡す。
岩村氏はその場で携帯電話に登録したあと、RIEさんに空メールを送り、電話番号も教えてくれた。
岩村氏は次のお休みの時に、RIEさんの地元のスキー場に行く予定というのを今井さんから
聞いていたので、工作にうまく反映することができた。
この日から岩村氏とRIEさんとのメールやLINEのやり取りが始まるのであった。
次回、周りから応援されている関係だけど別れたい|別れさせ屋工作④へ・・・続く。