友達関係からの脱却~出会い・お付き合い|出会い工作(3)
しばらく彼と直接会っていなかった水野さん。
彼の様子を担当員の報告で聞くと
「うんうん・・昔と全然変ってないみたい・・。」と
学生時代の彼と重ね合わせて思い出しているようであった。
電話やメール等では現在でも連絡は取っているものの
頻度も月に1度ほど、こちらからメールを送っても
仕事が忙しいようで、すぐに返信は帰って来ない。
あまりしつこく返信を求めると嫌われてしまいそうなので
彼にメールを1通送った後は、携帯電話をカバンの奥の方に
しまい、意識しないようにするのが習慣となってしまった水野さん。
担当員の報告を受けて、本当はすぐにでも
会いに行きたい所を、グッと堪えているようである。
さて、今回彼に接触を行なう工作員は
MIKIOさん31才 京都出身 元モデル 元アパレルのやり手バイヤー
一見、遊んでいそうな雰囲気だが実際に話をすると
話題の幅が広く、低音でゆっくりと諭すように話をする
聞き上手、聞き出し上手なスタッフである。
さて対象者である柴田さんは商社勤めだけあって
帰る時間はまちまち、深夜になり電車がなくなると
タクシーで帰宅するという忙しさである。
でも日課なのか帰宅すると必ず、寮の前を掃き掃除したのち
近所の公園までジョギングをするという非常にタフな生活を
送っていた。
接触するポイントとして幾つか挙げられたが
まず最初の接触(きっかけ)は出勤時の電車内で行う事となる。
午前7:05 柴田さんが寮を出て、駅方向へ颯爽と歩いていく。
午前7:12 最寄の駅に到着、上り方面行き電車が来るホームへ上がっていく。
午前7:18 柴田さんが電車に乗り込む(いつも同じ車両)。
隣の入り口より工作員MIKIOさんも電車に乗り込む。
ジーッと車内の路線図を睨み続けるMIKIOさん・・・
近くにいた柴田さんに恐縮しながらお得意の関西弁で声をかける。
「あのースイマセン、この電車は千葉駅に行きますか?」
柴田さんは明快に「ハイ、止まります。」
「ありがとうございます、昨日大阪から来たんですけど電車が多くて
さっぱりわからなくなってしまいまして・・。」などの話をする。
MIKIOさんに負けず劣らずの聞き上手な柴田さんは、絶妙なタイミングで相槌を打ち
会話のキャッチボールが始まる。
電車に乗っていたのはたった15分ほどであるが、降りる頃にはすっかり打ち解けている二人。
去り際には、どちらからともなく名刺を手にしていた。
名刺の交換をした後、柴田さんはニコヤカな笑顔で電車を降りていく。
工作員のMIKIOさんは久しぶりに見た好青年にテンションが
上がっていた。
ここまでスムーズに会話が成立する事に、近くで見ていた
調査員達も驚いていたが、水野さんに報告をすると学生時代から
社交的で、誰とでも仲良くなれる人なので、朝の接触の展開には
納得されていた。
まずは水野さんに対しての気持ちを聞きださなくてはならない。
これから接触を重ね、柴田さんとMIKIOさんとの親密度を上げていく
作業へと入っていくのであった。
次回、友達関係からの脱却~出会い・お付き合い(4)へ続く・・。