復縁間近だった彼に違う女の影~別れさせ屋工作⑤
別れさせ屋工作の対象者鈴木氏と工作員KENさんとの関係はLINEを通して
どんどん深まっていった。
この関係は最初に接触していた女性工作員TAEさんにも内緒だったので、
鈴木氏の本気度が高いことがわかる。
KENさんとの交流が深まっていくにつれて、依頼人久保さんの元彼氏であり
現在の鈴木氏の彼氏との関係はギクシャクしていた。
彼は鈴木氏の態度がおかしいと思い、毎日のようにランチにお店に顔を出して
何とか交流を持とうとしていたが、鈴木氏は何でもない、ちょっと放っておいてほしいと
言うだけで、彼からしたら意味が分からない。
その効果からなのか、彼から依頼人久保さんへの連絡頻度が増えており
ちょくちょく会えるようになってきていた。
もちろん久保さんは何も知らないフリをして接している。
そんな久保さんを見て彼は、「やっぱり由佳は落ち着く。」と勝手なことを
言うのであった。
数日後、鈴木氏とKENさんは隣町のワインバルで飲んでいた。
鈴木氏は早々に酔ったふりをしてKENさんにべたべたとくっついていた。
「ねぇ、君江ちゃん(鈴木氏)本当に彼氏とかいないの?」とKENさんが聞くと
「いないいない。いたらKENさんと一緒に飲みに来ないよ。」と言いながら
KENさんの腕をギュッと掴む。
カップルシートのような席なのでイチャイチャし放題である。
彼らが入店して1時間ほど経った頃、久保さんと彼も同じ店に入店した。
通された席は店内のKENさん達とは違う側で、しばらくは久保さん達もお酒と
料理を楽しんでいた。
「ちょっとトイレ行ってくる。」と彼が席を離れた。
それに気が付いたKENさんも「トイレに行ってくるね。」と鈴木氏に言うと
「えぇ私も行く~。」とKENさんにくっ付いてトイレまで付いてきた。
その様子を間近で見てしまった彼・・・。
KENさんがトイレに入った瞬間「あれ?何やってんの?」と鈴木氏が声を
かけた。
そんな彼を確認してにやけ顔が真顔に戻り二度見する鈴木氏。
「へっ?あなたこそ何やってるの?」とすっとぼけた質問をする鈴木氏。
「さっきの男誰だよ。なんだよベタベタして。そういう事だったんだな。」と
少し強い口調になる彼。
ここでKENさんがトイレから出てくる。
「どうしたの?君江ちゃん。」と鈴木氏をかばうように彼の前に立つKENさん。
彼は「いや何でもないです。知り合いによく似てたけど間違いだったみたいです。」と
言いながらKENさんの横をすり抜けてトイレに入っていった。
「大丈夫?」と鈴木氏に聞くと「うん、・・・間違えられて怖かった・・。」と
嘘を重ねる鈴木氏。
しばらくして彼が久保さんの待つ席に戻り、テーブルに置いてあったワインを
クイッと飲み干して、「会社の嫌な奴に会っちゃったからお店変えよう。」と
久保さんに言い、伝票を持ってレジに向かった。
久保さんも「・・うん。」と言ってその後について行った。
その後、別のお店に入り、乾杯をし直した彼と久保さん。
彼は落ち着いたのか「由佳、ゴメン。本当は違う女性をいいなって思っていたんだ。
仕事が忙しいふりをしていたけど、本当はその女性と会っていた。でも今はやっぱり
由佳がいいなって思い直した。本当にごめんなさい。」と頭を下げる彼。
そんな彼を見て「そんな事だろうと思った。急に態度が変わったからそんな理由だろうなって・・。」
「じゃあしばらくご飯代おごってね。」とニコヤカに返事すると彼は「もちろん!」と
笑顔でお酒をあおった。
それから数か月、彼は鈴木氏に連絡をすることなく久保さんとの関係は良好である。
鈴木氏は・・相変わらず居酒屋勤務でKENさんからのLINEを待つ生活をしている・・・。
復縁間近だった彼に違う女の影~別れさせ屋工作~終わり。