不倫関係の解消・・・別れさせ屋~娘の幸せ(6)
いよいよ仕上げの時期となった。
妻や子供がいながら、依頼人北村さんの娘である美紀さんと関係を持ち、
更に工作員REIさんにちょっかいを出すという、無節操極まりない
いい加減な男の代表、対象者加藤氏。
依頼人の北村さんと担当員で話し合った結果、彼と美紀さんが
一緒にいるところに工作員REIさんが接触するというシチュエーションがあれば、
彼に対して不信感が募っている美紀さんは、彼への気持ちに決着をつける事が
できるのではないかという結論に至り、実行に移すこととなる。
本当は加藤氏の奥さんにも、彼の無節操ぶりな状況を伝えてしまいたい衝動に
かられるが、その工作を行なって起こり得るリスクを考えて踏みとどまることにする。
加藤氏と美紀さんがデートをするのは、水・金曜日が多かったが
REIさんの登場によって、金曜日はREIさんと過ごす日となり
水曜日のみのデートとなっていた。
そしてある日の水曜日・・・
18:35 勤務先から美紀さんが出て最寄り駅より電車に乗る。
19:11 同じく勤務先より加藤氏が出て、携帯電話を操作しながら駅に向かう。
駅から自宅方面行きの電車に乗った加藤氏はニヤニヤしながら携帯電話を操作していた。
この操作は工作員REIさんへのメールであった。
「今日も疲れっちゃった・・これから接待で飲みたくないお酒を飲んできます」というメールであった。
REIさんも「今日もお勤めご苦労様です!私も今日は友人たちと居酒屋さんで女子会してきまーす」と
メールを送信する。
加藤氏は自宅の最寄駅から4つ手前の駅で下車し改札付近で美紀さんと
合流する。
そして近くの居酒屋に入り、2人がけのテーブル席に座る。
加藤氏が居酒屋に入店してから20分後、女性3名が入店し4人がけの
テーブル席に通される。
この女性3名はいずれも当社スタッフである。
そしてこのテーブルから加藤氏と美紀さんの席との距離は
およそ10mほどである。
加藤氏は何も知らずに美紀さんと食事をしている。
美紀さんの表情は暗く、口論ではないが不満をぶつけているのを
加藤氏がなだめている様子であった。
そして10分後、REIさんが居酒屋に入店、「ごめーん遅れちゃった」と
言いながら、女性3人が座っているテーブルに座る。
どこかで聞いたことがある声だと思ったのか
加藤氏が振り返ると、RIEさんを発見!
一気に凍りつく加藤氏、そしておもむろに立ち上がり
トイレに逃げ込む。
そっとトイレを出る加藤氏に向かって「あれ~ここでなにやってはるんですかぁ?」と
関西弁のREIさんが声をかける。
「うっんん・・・」と口ごもる加藤氏。
異変に気がついた美紀さんもトイレ前にやってくる。
「どうしたの?知り合いなの?」と美紀さんは加藤氏に話しかけるが
加藤氏はキョロキョロするのみで、事態を飲み込めていない様子である。
「この人だれ?」とREIさん。「あなたこそ誰なのよ」と美紀さん。
そして加藤氏の表情を見て、全てを察した美紀さんは
近くのテーブルにあった、ジョッキのビールを加藤氏の頭からかけて
「散々振り回しておいて、どういうつもりなのっ」とドンドンと叩きながら
足早に店を出ていくのであった。
「あんた最低やな」と言って、REIさんも店を後にする。
お店から駅に向かう途中で、泣きながら歩いている美紀さんに
出くわしたREIさんは、「私もあいつ許せないよ、思いっきりフッてやった」と
話しかけると、美紀さんは少し微笑みながら「良かったら飲みに行きません?」と
REIさんを誘ってくる。
もちろんOKのREIさんは近くのBARに入り、朝まで飲みながら
美紀さんの愚痴を聞くのであった。
元々加藤氏への不信感を募らせていた美紀さんは
吹っ切れたように、REIさんを昔ながらの友人と話すように
語り合った。
翌日、美紀さんから母親であり依頼人の北村さんに連絡が入り
「お母さんには心配かけたけど、彼ときれいさっぱり別れたから
もう安心してね!」との事であった。
とはいえ、弱くなる瞬間はあるので、別れさせた後のケアは
これからが大事だと言えます。
幸いREIさんと友人関係ができているので、美紀さんの様子は
今後しばらく見ていくことになる。
北村さんにはケアについてのアドバイスをして本案件は終了となりました。